研究センター

慶友胸郭出口症候群センター

胸郭出口症候群(以下 TOS)治療センターはスポーツ選手から一般の方まで幅広い年齢層に対する治療を目的に設立されました.TOSの症状は頸部から指先まで幅広く出現するため,TOSを疑わなければ診断に至りません.当院へはTOSの診断がつかず,原因不明で何件も病院を回ってこられる患者さんがたくさん来院されます.そのような患者さんに対し,適切な診断・治療を行います.治療の第一選択はリハビリテーションですが,治療に難渋する場合は手術を選択することがあります.これまでのTOSの手術は狭い術野で難易度が高く敬遠されがちでしたが,当院では内視鏡を併用し安全に手術を行っており,年間82件を行っており世界最多です.当院のTOS治療は適切な診断・治療を選択することを目標に,患者様が訴える痛みや痺れからの開放に寄与致します.

センター長 古島弘三
副センター長 草野寛

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胸郭出口症候群の症状

  • 肩から手先に掛けてのシビレや痛み,ダルさ
  • 握力の低下
  • 手の蒼白感
  • 手のむくみ
  • 野球選手であれば投球時・投球後のシビレ

※他院で野球肩・肘と診断を受け治療を行うも改善せず当院を紹介受診した結果,胸郭出口症候群と診断を受ける方も多くいらっしゃいます.

胸郭出口症候群の原因

素因

もともと鎖骨と第一肋骨の間を通る神経・血管のトンネルが狭いことが挙げられます.

  1. 前・中斜角筋の間のトンネルが狭い
  2. 鎖骨と第一肋骨の隙間が狭い
  3. 異常な線維が走っていて神経・血管を圧迫する など

外的要因

上記の素因がもともとあり外的な負荷がくり返されたりすると,神経の圧迫がくり返されて神経の圧迫が出たりします.

原因となる動作

  1. 手を高く上げて行う動作を繰り返し行う(吊り革や洗濯物干し,シャンプーやドライヤーなど)
  2. 姿勢の不良(なで肩,なで肩を治そうと無理に胸を張った姿勢)
  3. 無理な腕や肩の筋トレ
  4. 手を高く挙げて行うスポーツ(野球,バスケット,バトミントン,テニス,バレーボールなど)

胸郭出口症候群のタイプ

症状の原因は以下の3つのタイプに分かれ,治療方法もそれぞれ異なります.

  1. 圧迫タイプ
    鎖骨と第一肋骨で神経や血管が圧迫されて症状が出現します.手を挙げて行う作業が多い仕事(電気工事など)やスポーツ(野球など)の方に多いです.
    【治療方法】リハビリテーション,手術療法
  2. 牽引タイプ
    なで肩などの姿勢不良が原因で首から出た神経が引っ張られてしまうことで症状が出現します.手を下げていてもシビレやダルさを訴える方は牽引型要素が強いと考えられます.また,肩がもともと悪い方など.
    【治療方法】リハビリテーション
  3. 混合タイプ
    圧迫型と牽引型が混合した状態です.割合としては74%と最も多いです.
    【治療方法】リハビリテーション,手術療法(圧迫要素が強いと判断された場合のみ)

圧迫タイプは手術により著明な改善がみられることが多いですが,牽引タイプの場合には手術効果は一時的なことがあります.

自宅で簡単チェック

ルース テスト

ROOS test(ルース テスト)

手のグーパーを1秒毎に繰り返し,1分以内で手のダルさやシビレが増強し手が挙げられない状況になれば胸郭出口症候群を疑っても良いかもしれません.

当院での画像検査

3D-CT

手を下ろした状態と挙げた状態の2パターンでCT撮影を行います(検査時間:10~15分).

3D-CT
【手を下ろした状態】          【手を挙げた状態】

鎖骨と肋骨のスペース(赤矢印部)に神経と血管があり,手を挙げると狭くなるような場合は神経や血管が圧迫を受けている可能性があります.

血管造影3D-CT

腕の血管から造影剤を注入し,手を挙げた状態でCT撮影を行います(検査時間:5~10分).

血管造影3D-CT
【血管狭窄例】           【正常例】

血管が鎖骨と第一肋骨で挟まれ,狭窄している様子です.このような場合は,鎖骨と第一肋骨で強く血管が圧迫されている状態です.

エコー検査(非侵襲)

①血流速度検査(検査時間:10分)

血流速度検査
【手を上げることで,血流が途絶えてしまいます(右図)】

手を挙げることで血流が途絶えてしまう方もいらっしゃいますが,症状の無い方でも途絶えることはあります.あくまで指標の一つです.

※女性はキャミソールに着替えて頂きます(当院でご用意いたします)

※女性の患者さんは女性スタッフが同席いたします.

②第一肋骨部の観察(検査時間5分)

第一肋骨部の観察

第一肋骨部における神経と血管の位置関係を調べる検査です.

前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋三角底辺距離)が重要な指標となります.正常は10mm以上(上図)ですが,下の図の様に狭くなっている場合は筋肉によって神経と血管が圧迫されている可能性があります.

※あくまで画像検査は診断の補助であり,医師による診察や患者様からの訴えを中心に診断されます.

斜角筋三角底辺距離

治療方法

リハビリテーション

リハビリにて65%(一般の方:55%,スポーツ選手:70%)程の患者様は症状の軽減が見られます(リハビリ期間には幅があります).

  • 胸郭出口症候群に精通した理学療法士が担当させて頂きます.基本的には担当制ですが,不在時には他のスタッフで対応させて頂く場合がございます.
  • 胸郭出口症候群の症状は多岐に渡り症状に幅があるため,決められた内容で行うのではなく,各患者様に合ったリハビリ内容を計画させて頂きます.
  • 胸郭出口症候群の症状は原因が不明のまま悪化することが多いです.そのためリハビリテーション科では原因の説明から日常生活で無意識に行っている問題となる動作を確認し,改善の糸口を見つけることに重点を置いています.

手術療法(第一肋骨切除術 + 斜角筋切離術)

手の筋肉の萎縮やシビレなどで日常生活に支障をきたすほど症状が強い方,3ヶ月以上リハビリや投薬を続けても症状が緩和されない方,早期のスポーツ復帰を望む方が対象になります.

手術について

これまで,胸郭出口症候群の手術は術野が狭く難しい手術であり,神経や血管を傷つける可能性が高かったため敬遠されがちでした.当院では2013年より内視鏡を使った胸郭出口症候群の手術を導入し(国内初),現在(2020年)に至るまで600件以上行ってきました.

方法

手術風景
【手術風景】

内視鏡下で第一肋骨切除,斜角筋切離を行います.傷口は脇に5~8cm程できます.
腋窩神経剥離術を追加すると腕の内側に3~4cm程の傷が増えます.
神経と血管を圧迫する一番の要因は鎖骨と第一肋骨です.脇から内視鏡を入れ,カメラで確認しながら第一肋骨を安全に切除します.神経や血管を傷つけないように操作は慎重に行われます.

切除前切除後
【切除前】            【切除後】

手術後のレントゲン
【手術後のレントゲン(数年後に肋骨が再生する場合があります)】

野球選手における手術成績(内視鏡下での):2015年調査

83.9%が満足のいく結果となった

第一肋骨切除術の入院期間と流れ

第一肋骨切除術の入院期間と流れ

※抜糸は初回の外来診察時に行います.
※あくまでも標準的な流れです.治療内容によって前後があります.

紹介状をお持ちの方へ

手術を目的とした紹介状をお持ちの方へ(要予約)

遠方の医療機関からの紹介で手術を目的とした紹介状をお持ちの方は,1度の来院で済むように予約制としております.予約は月曜午後と木曜午前です.お電話にてご予約いただけますようお願い致します.

【慶友整形外科クリニック 医療事務部】
TEL:0276-72-6000
月曜 木曜
午後
※14時30分までにご来院ください
午前
※9時までにご来院ください

手術を目的としていない紹介状をお持ちの方へ(予約不要)

手術を目的としていない紹介状をお持ちの方は以下の専門医の診察日にお越しください.

月曜 火曜 木曜
午後 午前 午前