研究センター

慶友股関節センター

股関節痛について

股関節は、寛骨臼と大腿骨で形成される球関節です。股関節痛は骨・関節の損傷や筋肉・靭帯の炎症など原因は様々であり、原因に対して専門的な治療が必要となります。

股関節領域における代表的な疾患

外傷 大腿骨頚部骨折・転子部骨折
先天性疾患 発育性股関節形成不全、先天性股関節脱臼
慢性疾患 変形性股関節症
小児疾患 ペルテス病、大腿骨頭すべり症
スポーツ疾患 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)、グローインペイン症候群
その他 特発性大腿骨骨頭壊死症

当院の治療方法について

当院では小児から高齢者まで様々な疾患に対して専門的治療を行なっております。臨床症状や単純X線・CT・MRIなどの画像所見を基に診断し治療方針を決定していきます。リハビリテーションを中心とした理学療法、除痛や抗炎症を目的として薬物治療、必要があれば手術治療があります。的確に判断し、その選択肢についてメリット・デメリットを丁寧に説明いたします。

代表疾患

変形性股関節症

変形性股関節症は前股関節症・初期・進行期・末期の4つの段階に分類されます。日本人の患者さんは発育性股関節形成不全や先天性股関節脱臼などによる二次性の変形性股関節症が多いといわれています。変形性股関節症は初期の変形では理学療法や投薬療法にて手術せずに治療することができます。しかし、変形の進行が予測される場合には関節の温存を目的として骨切り術が必要な場合もあります。変形が進行した場合は人工関節の適応となります。人工股関節全置換術については下記リンクよりご確認ください。

人工股関節全置換術

大腿骨近位部骨折

大腿骨近位部骨折

大腿骨近位部骨折は脚の付け根部分の骨折の総称であり、高齢者に多い骨折です。
大腿骨には頚部と転子部があり(右図参照)、骨折してしまう場所によって手術方法が変わります。
早期に理学療法を開始する目的で人工骨頭置換術や観血的整復固定術などが必要となります。

大腿骨頚部骨折

大腿骨頚部骨折は癒合しにくい骨折であり、体重をかけて歩けるようになるためには手術が不可欠となります。

大腿骨頚部骨折に対しての手術療法

骨折した骨頭の変位の仕方によって以下の手術方法の選択肢があります。

単純レントゲン

①人工骨頭置換術
骨頭を切除し、人工骨頭に置き換える手術です。
関節の状態など考慮し人工股関節全置換術を選択することもあります。

②観血的整復固定術(ORIF)
骨頭と骨幹部を医療用の金属で固定し、骨癒合を期待します。

大腿骨転子部骨折

大腿骨転子部骨折は骨癒合しやすい場所の骨折です。

大腿骨転子部骨折に対しての手術療法

単純レントゲン

①観血的整復固定術(ORIF)
骨折した部分を元の形状に整復し、髄内釘などを用いて骨折した部分を安定させる手術です。


小児股関節疾患

先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全

先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全

周産期に緩みのある股関節が、おむつや抱き方など間違った育児習慣によって脱臼することが多いと言われています。最近は先天性というより発育性股関節形成不全と呼ばれるようになりました。女児に多く、家族性も指摘されています。現在は、乳児検診でレントゲンやエコー診断にて早期発見することができます。
治療方法は、装具治療が原則ですが、入院にて牽引療法が必要になる場合もあります。

大腿骨頭すべり症

大腿骨頭すべり症

大腿骨の骨頭の先端が成長軟骨部でずれてしまう病気です。肥満やホルモン変化、X脚など様々な原因が考えられています。特に男児に多く、9歳から15歳頃の股関節の成長軟骨線が力学的に弱い時期に発症します。
骨頭すべり症に対する治療方法は原則として手術治療が選択されます。不安定な骨端線部を金属で固定する方法や骨切り術が必要な場合があります。

ペルテス病

ペルテス病

大腿骨頭の骨成熟過程で血行障害により骨頭が壊死してしまう病気です。5歳から7歳の男児に多く、発症年齢や病期、病態により治療方針を選択します。壊死部の修復には数年を要します。
ペルテス病に対しては、坐骨免荷装具等による保存療法と手術治療(骨切り術)があります。