研究センター

当院における変形性膝関節症のリハビリテーション

リハビリテーションの目的

  • 痛みの軽減
  • 膝の動きの改善
  • 筋力・バランス能力の向上
  • 転倒予防

主なリハビリ内容

(1)筋力トレーニング

特に**大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)**と大殿筋(お尻の筋肉)を鍛えることが重要です。

太ももの前側のトレーニング(大腿四頭筋)
太ももの前側のトレーニング(大腿四頭筋)
お尻のトレーニング(大臀筋)

多くの研究で、筋力トレーニングは膝の痛みを和らげ、歩行能力を改善する効果があると示されています。

(2)有酸素運動

ウォーキングやエアロバイクなど、膝にやさしい運動を継続することが推奨されています。

  • アメリカ整形外科学会(AAOS, 2021)や欧州リウマチ学会(EULAR, 2019)でも第一選択の治療として推奨されています。

(3)ストレッチ・マッサージ

太ももの裏側やふくらはぎの柔軟性を高めることで、膝関節にかかる負担を減らします。
また、膝周囲の筋肉が硬いと膝の制限を作ってしまうため、余計に痛みを感じやすくなってしまいます。

太もものマッサージ(膝蓋上嚢)
太ももの外側のマッサージ(大腿筋膜張筋)
お皿のマッサージ(上下方向)
お皿のマッサージ(横方向)
ふくらはぎのストレッチ(下腿三頭筋)
太ももの裏側のストレッチ(ハムストリングス)

(4)バランス訓練

片脚立ちやステップ運動などで転倒予防につながります。

(5)生活指導

  • 体重管理(体重が1kg減ると膝への負担は約3倍減るといわれています)
  • 正しい歩き方や動作の習得
  • 膝にやさしい日常生活の工夫(正座を避ける、階段の昇り降り方法など)

エビデンスに基づく推奨

  • 運動療法はすべてのガイドラインで最も推奨される保存療法
  • 特に筋力トレーニングと有酸素運動の組み合わせは、痛みと機能改善に効果的であると報告されています。

まとめ

変形性膝関節症のリハビリは、「痛みを減らす」+「膝を守る」+「生活を快適にする」ための大切な治療です。

当院では、患者さん一人ひとりに合わせた運動プログラムを作成し、無理なく続けられるリハビリをサポートしています。